私の配属先であるGHCが組織しているHIV陽性者のNGOがある。メンバーは20名ほどで、うちの郡だけでなく隣の郡から来ている人もいる。なぜかというと、家の近くでは近所の人に知られる可能性があり、それを恐れているから。家族の誰にもHIV陽性であることを伝えられずにいる人もいる。NGOでは月に1回ミーティングを開き、GHSの担当者が健康チェックや治療状況、困っていることなど聞いている。来ても、何か支援物資がもらえるわけでもないが、毎月10名以上は集まっている。物資的な得る物がなくても、ここに来ると同じような境遇の人たちに会える安心感というのはあるんだろうと思う。
1月に赤ちゃんを産んだ私の友達、彼女もHIV陽性者。彼女は英語が話せないので、言葉の壁は大きいけど、私を慕ってくれている気がするし、彼女の赤ちゃんを抱っこするのは私にとっても大きな癒し。赤ちゃんはもう9ヶ月になり、支えれば立つこともできるし、よく笑うようになった。母乳はあげられないけど、すくすくと可愛く育っている。NGOのミーティングには子育てを終えた女性や小さな子どものいる女性もたくさんいる。きっと彼女がこれから遭遇するであろうたくさんの困難や問題に対して、少しでも助けになればいいなと思って、以前から彼女もこのミーティングに参加しないかと声をかけていた。でも、なかなか抵抗があったのだろう、今まで来ることはなかった。
でも今月、その彼女が初めてNGOのミーティングに来てくれた!彼女が、自分がHIV陽性であること、HIVと共に生きていくということを受容したということだと思っている。すごく嬉しかった。
私たち医療者にできるのは、患者さんがHIV陽性であることを知り、そこから治療にアクセスできるようサポートすること。でも、そこから患者さんが病気を受け止め、病気とともにポジティブに生きていけるようになるには、患者さんにしか分らない苦しみ、葛藤、孤独などたくさんの困難を乗り越えなければならない。それを傍で応援することはできるかもしれないが、患者本人に代わってあげることはできない。
時間がかかるのは当たり前。彼女がこれからも前を向いて、HIVと共に生きる人生を歩けるといいな~と思う。