日本のある病院より新生児聴診器を寄付して頂きました。
ガーナでは、バイタルサイン測定という日本の医療現場にしてみれば当たり前かつとても重要な行為が軽視されているように感じる。成人の場合、Drの診察を受ける前に血圧測定と体重測定は行われているが、本当に測定しているというだけで、その値をアセスメントしているようには見えない。
それは産科病棟においても同じで、ベビーに関しては出生後1度もバイタルサインを測定されることなく退院していく。健康な新生児ならばそれでも良い。しかし早産や仮死状態で生まれた場合など、バイタルを測定することは今後の児の状態を予測するために、とても重要なことである。
以前、こんなことがあった。
仮死状態で生まれたベビーが、生まれてから10分以上経過するのに全然泣かず、四肢も緊張がない。刺激にも反応せず、思い出したかのように時々呼吸をするのみで、全身チアノーゼ著名、臍帯の根もとで脈拍測定するが著しい徐脈。日本だったら、即NICU搬送、酸素投与開始、挿管も考慮されるかもしれない。そんなベビーを前に、助産師は「呼吸してるから大丈夫よ」と何の処置も施さない。私1人だけ鼻腔までしか入らない吸引器で吸引、ドレナージと刺激を続けた。幸い、約2時間後には全身ピンク色になり、状態は落ち着いた。でも低酸素の時間が長かったため、脳にどんな影響を与えているかは分からない。
ベビーのバイタルサインの知識がなく、聴診器や体温計などの用具もないため、バイタルサインの異常があっても、それを異常と分からない。もし異常とアセスメントできても、ガーナの医療事情では、その後大した処置はできないかもしれない。しかし病院やヘルスセンターと看板を掲げているならば、せめて正常か異常かの判断くらいは下し、物が無いなりの蘇生処置は行うべきである。物が無いからしなくても良いということにはならない。手を使ってでもバイタルのモニタリングはできるし、人の体温を使ってベビーの状態を落ち着かせることだってできる。
「世界の笑顔のために」というJICAのプログラムがある。日本で寄付されたものを、JICAが送料を負担して任国まで届けてくれるというもの。8月にこのプログラムを利用して、新生児の聴診器を依頼していた。でもどこの病院も必要以上にたくさん所有しているわけはなく、大人用聴診器に比べて寄付が集まりにくい。でも、大学の同期が病院に交渉してくれて、1つ寄付して頂いた。先日、ガーナに到着。本当にどうもありがとうございました。
聴診器を寄付していただいて、それを「ハイ、どうぞ」と渡したのでは全く意味がない。ここからが私の仕事。まず初めに、ベビーのバイタルサインの正常値、異常値をチャートにまとめて、産科病棟に掲示してもらうよう頼んだ。これからヘルスセンターに行った際には、スタッフと一緒にバイタル測定をし、どういう呼吸が異常なのか、リズムや音はどうなのか…私ができる範囲で、この聴診器を使う意味を伝えていきたい。
ガーナでは、バイタルサイン測定という日本の医療現場にしてみれば当たり前かつとても重要な行為が軽視されているように感じる。成人の場合、Drの診察を受ける前に血圧測定と体重測定は行われているが、本当に測定しているというだけで、その値をアセスメントしているようには見えない。
それは産科病棟においても同じで、ベビーに関しては出生後1度もバイタルサインを測定されることなく退院していく。健康な新生児ならばそれでも良い。しかし早産や仮死状態で生まれた場合など、バイタルを測定することは今後の児の状態を予測するために、とても重要なことである。
以前、こんなことがあった。
仮死状態で生まれたベビーが、生まれてから10分以上経過するのに全然泣かず、四肢も緊張がない。刺激にも反応せず、思い出したかのように時々呼吸をするのみで、全身チアノーゼ著名、臍帯の根もとで脈拍測定するが著しい徐脈。日本だったら、即NICU搬送、酸素投与開始、挿管も考慮されるかもしれない。そんなベビーを前に、助産師は「呼吸してるから大丈夫よ」と何の処置も施さない。私1人だけ鼻腔までしか入らない吸引器で吸引、ドレナージと刺激を続けた。幸い、約2時間後には全身ピンク色になり、状態は落ち着いた。でも低酸素の時間が長かったため、脳にどんな影響を与えているかは分からない。
ベビーのバイタルサインの知識がなく、聴診器や体温計などの用具もないため、バイタルサインの異常があっても、それを異常と分からない。もし異常とアセスメントできても、ガーナの医療事情では、その後大した処置はできないかもしれない。しかし病院やヘルスセンターと看板を掲げているならば、せめて正常か異常かの判断くらいは下し、物が無いなりの蘇生処置は行うべきである。物が無いからしなくても良いということにはならない。手を使ってでもバイタルのモニタリングはできるし、人の体温を使ってベビーの状態を落ち着かせることだってできる。
「世界の笑顔のために」というJICAのプログラムがある。日本で寄付されたものを、JICAが送料を負担して任国まで届けてくれるというもの。8月にこのプログラムを利用して、新生児の聴診器を依頼していた。でもどこの病院も必要以上にたくさん所有しているわけはなく、大人用聴診器に比べて寄付が集まりにくい。でも、大学の同期が病院に交渉してくれて、1つ寄付して頂いた。先日、ガーナに到着。本当にどうもありがとうございました。
聴診器を寄付していただいて、それを「ハイ、どうぞ」と渡したのでは全く意味がない。ここからが私の仕事。まず初めに、ベビーのバイタルサインの正常値、異常値をチャートにまとめて、産科病棟に掲示してもらうよう頼んだ。これからヘルスセンターに行った際には、スタッフと一緒にバイタル測定をし、どういう呼吸が異常なのか、リズムや音はどうなのか…私ができる範囲で、この聴診器を使う意味を伝えていきたい。
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