ブログにも何度も書いているHIV陽性の彼女。
ここ3週間くらい体調が悪く、ひどく咳をしていた。咳止め薬を飲んでも、あまり良くならない。HIV陽性者が最も罹患しやすい日和見感染症…それは結核。彼女の咳の仕方からも、まず結核を疑った。病院へ連れて行き、2日間の検査の結果、結核は陰性。
それじゃあ、この症状は何なのか??
結核であることが決して望ましいわけではないが、まだ結核とはっきり診断できた方が、治療が受けられる。HIV感染により免疫が下がると、あらゆるウイルスや菌に感染しやすくなる。ややこしい感染症じゃなければ良いけれど…結核は陰性なので、とりあえず抗生剤をもらって様子を見ることになった。
自分が少々しんどくても、誰も稼いでくれる人はいないし、1歳の子どもはいるし、とりあえず生活費を得なければならない。私が訪問できる日は野菜や魚、果物などを持っていけるけど、毎日というわけにはいかない。以前、やっていた「ココ」という食べ物の商売は訳あって、できなくなってしまった。たった1日1GHCの収入だったが、それで生計を立てていた彼女にはそれが全て。仕事がなくなってからは、時々HIV陽性者の会や教会から寄付されるお金で食いつないでいた。
そんな彼女に、また悲しい出来事。1月に離婚した夫が再婚し、今彼女が住んでいる家のすぐ近くに引っ越してきた。夫に「子どもは自分が引き取りたい」と言われ、娘を奪われる不安。彼女がそこに住んでいることを知った元夫はまた暴力を振るうし、彼女がHIV陽性者であることを知っている夫が、いつ近所の人にそのことを言いふらすか分からないという恐怖。彼女はまたどこか住める場所を探さなくてはならなくなった。
でも、彼女には目標があった。
「ボールフルーツを売って、子どもを学校に行かせて、自分が育てる」
力強く、私にそう言い続けてきた。
ボールフルーツ(ドーナツみたいなもの)を売りたいという彼女の気持ちはずっと前から聞いていた。材料は自分で買える。でも1個約15円のボールフルーツを売るために、頭に乗せて運ぶ約600円のケースが買えない。自分で何とかできるなら、その方が良い…とも思う。でも収入の無い彼女が切羽詰っているのも十分分かる。葛藤もあるが、私はもうすぐ帰るし、彼女が新しいスタートを切るのを見届けたかった。
そして、今週月曜日からボールフルーツをステーションで売り始めた。時々クセのある味のボールフルーツがあるのだが、彼女の作ったボールフルーツはとても美味しかった^^
決して、大金が稼げるわけではないし、体調の心配もある。でも、ステーションでボールフルーツを売ってる彼女は久しぶりに生き生きして見えた。