ちょっと医療の話。
Sickle-cell disease:鎌状赤血球症
通称、Sickling。
赤血球の形状異常のため酸素運搬能力が低下し、貧血、臓器障害が起こる。
↑丸いのは正常、鎌状になっているものが異常
遺伝子突然変異によるもので、アフリカ、中近東などに多いと言われている。
なぜアフリカに多いか・・・
それはマラリアの流行と関連しているとも言われている。鎌状赤血球は正常赤血球よりも壊れやすく、それが貧血へとつながるわけだが、マラリアに対してはこれが有利に働く。つまり、マラリア原虫が血中で爆発的に増加する前に赤血球の寿命が来てしまうので、マラリア原虫の増殖が抑えられる。遺伝病としてアフリカに多く、それが無くならないのは、こういった自然への体の適応もあるらしい。
人間の体って不思議・・
そして実際、ホントに多い。
日本にいたら、ほとんど見ないけど、ここガーナでは本当によく目にする。
妊婦健診ではSicklingがルーチン検査の中に入っていて、健診に来た全妊婦を検査するが、かなりの割合でPositiveという検査結果が返ってくる。そして同時に、貧血も多い。正確に言うと、Sicklingには2種類あって、貧血が重傷になるタイプと軽症で済むタイプがある。ほとんどの人が軽症なタイプのSicklingだけど、Hb(ヘモグロビン)7~9g/dlなんていうのははざら。中には5g/dlという人もいた。
そんな人がすごく遠い所からやってくるから、やっぱりこっちの人はスゴイと感心してしまうけど。。
ラボがない施設での簡易貧血検査セット↓(信頼性と清潔度はナゾ・・)
もちろん栄養状態が良くないということも影響しているが、ガーナでは貧血は主要な病気の1つ。
妊婦に対しては鉄剤の処方をしているが、出産時の出血多量に間に合うほどの効果はほとんど期待できないというのが正直なところ。貧血も周産期死亡率を高くしている一要因。
日本じゃ「貧血で死ぬ」なんて、あまり聞かない話。
でも、ここはアフリカ。